UPDATE:2014/10/31
経営計画作成支援、経営会議運営・目標管理運用支援を行っていて、会社の目標と現場の目標や人事評価制度とが連動していない、残念な会社が多く存在します。以下に、組織成果を最大化させる、「経営計画と目標管理制度の連動」させる仕組みの作り方を説明していきます。
◆経営と現場をつなげる経営計画の作り方
会社の目標が組織の目標に展開され、個人の目標設定につながる。個人の目標の総和が会社の経営目標の達成になる。理想的にはそうあるべきですが、現実は会社の目標と現場の目標が乖離しているケースが少なくありません。
正しい目標は、どのような展開方法で設定されるべきでしょうか。
前提になるのは、次の階層別の計画です。
①全社経営計画
② 部門事業計画
③ 部運営計画
④ 課(店舗)実行計画
⑤ 個人目標達成計画
上記の経営計画を階層ごと(縦の関係)に、部門ごと(横の関係)に、時間のレンジ(長期・短期)で整理し、期間内目標を設定します。
中期(3年) | 年度目標 | 半期目標 | 四半期目標 | 月次目標 | 週間計画 | |
全社 | ◎ | ◎ | ○ | ○ | ||
部門 | ○ | ◎ | ◎ | ◎ | ||
部 | ○ | ○ | ◎ | ○ | ||
課(店舗) | ○ | ○ | ◎ | |||
個人 | ◎ | ◎ | ◎ | ○ | ||
※ ○は重要目標、◎は最重要目標 |
表の時間レンジを整理し、目標を連動させて運用していく仕組みをマネジメントサイクルと呼びます。個人においては、人事評価目標が短期目標の前提になります。
組織責任者は、上位目標を意識しながら目標設定し、マネジメントサイクルを回しながら目標達成のために修正を加えていくことが、目標管理の運用となるのです。
◆マネジメントサイクル
マネジメントは階層ごとに役割が違います。実際現場の仕事は現在の点で動いていますが、各責任者は責任の重さや、見るべき範囲、対象とする期間が異なりますので、短期の問題解決、長期の課題解決を、同時にバランスを取って動かします。
階層別の経営計画を確認修正していくのは、報告書と会議です。報告書と会議をうまく経営計画と連動させて、機能させることによって、期間ごと、階層ごとの目標達成と課題解決が進捗していきます。
一般的には企業規模に関係なく、事業戦略を1年、戦略を四半期、戦術を1ヶ月、行動計画を1週間単位でマネジメントを行います。
それに合わせて、役員→部長の階層は1年の目標を四半期ごとに進捗確認し、部長→課長の階層は四半期の戦略を月次の会議で進捗確認し、課長→メン バーは月次の戦術を週単位で進捗確認します。この流れで、全社の目標を現場の行動計画と連動させるのです。意識したい目標は、1つ小さいレンジで進捗管理 することがポイントになります。
◆組織の目標と個人の目標のバランス
個人の目標設定をする際は、一定期間内のその個人の役割における、測定可能な成果を具体的に落としこまなければなりません。そうしないと達成したかどうか、振り返ることができないからです。
ただし、個人の目標設定を狭くとらえ、個々人の目標上の責任だけを追求するマネジメントを行ってしまうと、手段としての個人目標達成が目的になり、 「自分の責任だけ果たせばそれでよい」「他のメンバーの達成状況は関係ない」「自分の所属するチームの目標には関心がない」などという、個人主義がはびこ る原因となります。「個人目標より組織目標が上位概念」「個人目標は組織目標を達成するための手段」であるという原則から外れてしまいます。私が指導させ て頂いている企業では、「組織目標30:個人目標70」「組織目標50:個人目標50」というように、所属組織の目標もウエイト付けして評価の対象にして います。お互いの仕事に対する関心や、積極的な情報共有、後輩指導、数字に対する粘り、執着心が出てくる効果が表れます。
組織長は、全社の経営計画の進捗状況や上位概念である所属組織の目標達成状況を常にメンバーに知らせ、関心を持たせ、組織の一員であるという意識を 日常から持たせなければなりません。そのことが会社の方向性を理解し、全社一丸となって目標達成に向かい、会社に対するロイヤルティを高めることにつなが るのです。
P・F・ドラッカーの言葉に、次の言葉があります。
「自己管理による目標管理こそ、マネジメントの哲学たるべきものである。」
「目標と自己管理によるマネジメントの原理だけが、全体の利益を1人ひとりの目標にすることができる。」