UPDATE:2014/11/27
「エンジニアのために、エンジニアによって設立された企業」グーグル。同社の創業者であるラリー・ペイジとサーゲイ・ブリンは、「ユーザーを中心に考えること」「最高の技術者で最高のサービスを生み出すこと」を最優先に考え、技術者にとって最高の環境を提供することが、「世界最高の検索エンジン」を可能にする近道だと考えた。そのため、設立から数年、大学院で味わったような平等な環境を再現するため、マネジャーを置かない、完全フラット組織を試みた。しかし、その実験は、長くはもたず、最低限のマネジメントは必要だと気付くことになる。
それでも社員が4万人まで膨れ上がった組織(米国)としては、階層は多くない。マネジャーは5000人、ディレクターは1000人、バイス・プレジデント100人どまり、おおよそ4階層というフラットな組織である。基本的に、個の力に重きを置き、現場からのイノベーションが上がってくる仕組みを重要視している。最高の「グーグルらしい」人材を集め、現場に大きな自由と権限を与え、技術者にとって最高の環境を提供することがマネジメントの中核になっている。
そのため、マネジャーに求められる行動を、業績結果と技術者からの上司評価、優秀マネジャーの行動分析を基にモデル化し、次の「8つの行動」に集約させている。
①優れたコーチである。
②チームを力づけ、事細かく管理しない。
③チーム・メンバーの仕事上の成功と私的な幸福に関心を示し、心を配る。
④建設的で、結果を重視する。
⑤コミュニケーション能力が高く、人から情報を得るし、また情報を人に伝える。
⑥キャリア開発を支援する。
⑦チームのために明確なビジョンと戦略を持つ。
⑧チームに的確な助言をするための、主要な専門的スキルを持ち合わせている。
四半期ごとに目標管理(OKR)を行い、会社全体の方向性と組織・個人の目標を合わせ、半年ごとの評価時に上記の「8つの行動」に結び付け本人へのフィードバックを行い、育成課題に活かしている。また、社内表彰制度である「グレート・マネジャー賞」の選定基準にも「8つの行動」を反映させて、マネジャーの目指すべき姿として、定着・浸透を図っている。様々な人事施策を調べてみると、世界の最先端企業でありながら、いたるところに、ドラッカー哲学に通ずるところが多くみられる。優良企業として、優秀な人材を集め、成長し続けているのは、変わらない、企業成長の原理・原則を取り入れているからと言えるであろう。
1998年インターネットの急成長期に設立されたグーグル。インターネット事業を常にリードし、15年たった今では株式時価総額も世界第3位となり、さらに拡大させた領域にチャレンジしている企業。今後の成長戦略に注目するとともに、企業文化や人事施策、組織・人材に着目していきたい。
※ダイヤモンド社HBR5月号、日本経済新聞出版社「How Google Works」