UPDATE:2009/05/25
我々中小企業を取り巻く環境に、以下の統計がよく使われる。
世の中の80%の企業は10名以下の企業、95%は30名以下の企業、98%は100名以下の企業である。
また、経済産業省の統計によると、毎年開業する人の30%は1年目に倒産、2年目に更に15%が倒産、
3年目に10%が倒産、4年目以降も毎年約5%くらいずつ消えていき、10年経つと10%くらいしか残っていないと言う。
企業の発展には、いくつかの壁が存在するようである。
事業と組織の2つの側面から見てみたい。
先ず、商品寿命。かつてのヒット商品の寿命は、3年から5年、恩恵を享受できた。
だからこそ商品開発に、2~3年かける腹積もりがあった。
今はどうだろう。1年から3年、下手をすると、半年で市場からなくなってしまう。
商品だけではない。市場自体が、3~5年で消えてなくなるケースも多い。
そういう意味で、企業の事業スパンを3年で区切る場合が多いのだろう。
華々しくデビューをした花形企業が3年もしないうちに消えてなくなってしまう例が多いのも頷ける。
そう考えると、強い商品サービスを持っている事が本当の強みではなくて、商品サービスを改善し続ける、生み出し続ける、
新しい市場を提唱できることが企業の本当の実力と言える。それを社長一人でやるのか、組織でやるのか。
ビジネスには、商売レベルと事業レベルがある。
商売レベルとは、誰か一人の発想を元にヒットを飛ばす事。その商品・サービスが廃れるとそこで断絶する。
事業レベルは、市場適応性を前提にする。
市場があって、その発展レベルを考えた上でポジショニングを考え、改善・改革を続けていく。
商売の本質は、その一人(多くは社長)の頭の中だけにあって、周囲の協力者との相互理解が必要ない。
事業は、組織対応せざるを得ないので、共通認識、判断基準、日常のコミュニケーションが重要になる。
企業が行うビジネスを商売レベルで置いておくと、社長がいつも現場対応せざるを得なくなり、
次のビジネスに時間を割く事ができなくなり、企業は発展しない。
組織の面から考えると、30名の従業員と100名の間には何か壁が存在する。
世の中の企業殆どが30名以下である。おそらく30名とは、社長一人で仕切れる限界範囲なのである。
社長一人で頑張る。他は社長の顔色を見て行動する。自分の頭で考えるなんて事はない。
社長との関係性を保つ術だけが巧みになっていく。まれに優秀な幹部が外部から加わっても、優秀であれば
どこかで社長とぶつかって辞めていき、サラリーマン的バランスに長けている幹部だと期待ほどの新しい事はやらずに、
埋もれながら長居する。
業績が好調で、従業員が50名くらいになると、いつも組織的課題を抱え、前に進まなくなり、なぜか管理コストが上がる。
いつの間にか、また30名くらいに戻る。
30名くらいの会社は、社長一人、その他と言う「文鎮型組織」である。
社長のみが頭脳であり、すべてのエンジンである。従って見える範囲も限られてくる。
ここを突破するには、階層を設け、先ずは課長クラスの育成しかない。
部長クラスと課長クラスの違いは、課長の管理単位が社員10名以下のマネジメントである。
その課長クラスの人数で、会社規模が決まってくる。1人前の課長が3人以上いると、50名以上の規模が実現でき、
100名まで近づいていく。
その中で部長クラスが3人以上できると100名の壁を突破していくのである。
部長クラスとは、社員30名以上の単位を統括できるマネジメント力を持つ幹部である。
なぜ、3人かというと、企業組織の基本構成が3つに分かれていて、コア技術・開発・生産部門、営業・マーケティング部門、
経営管理部門である。
この3部門に責任者が育つと、社長が将来の事に手を打つ余裕ができる。問題解決から課題解決に移れる訳である。
100名以上の組織を目指す場合は、商売を事業に成長、事業の柱の分散、
そしてそれを支える事業部門長の数だけ組織拡大できる事になる。商売の積み重ねだけでは寿命が短い。