UPDATE:2009/06/29
組織間連携の難しさ
営業強化のご依頼を受けて2年間にわたって、
管理職研修、経営幹部研修を行っている企業(医薬品卸:従業員数450名)がある。
業界再編の大きな波が押し寄せている中で、その企業の最重要課題は地域内シェアアップ。売り上げ拡大である。
シェアの低い地域は、ここ数年で他卸に吸収されてしまうだろう。従って、目標も高めに2桁成長を狙っている。
しかし、企業の中の組織間連携がうまく取れていない。
仕事量は売り上げに比例するので、現場の仕事は売り上げに応じて多くなる。
特に売り上げを上げるための仕事は、無駄も多く含み、生産性は落ちる。残業も多くなり、人件費が上がる。
管理本部は仕事の性質上、経費削減目標を追っかけている。
そこで現場に働きかける。「人件費を抑えろ。無駄な残業を減らせ。」
そして目に見える残業代を細かくチェックし、いつしか現場に伝わるのは「残業をなくせ。」
現場のマネジャーは残業時間が気になり、新規拡大に向けた有効な仕事の指示を出せない。
いつの間にか現場では「ノー残業デイ」まで設定し、お客様からクレームが入る始末。当然、シェアを下げてしまう。
「人件費削減」と「売り上げ拡大」は両立しない。管理本部の手段の目的化、部分最適を優先した結果である。
またそれを許した営業本部の本部間連携、コミュニケーションの弱さが原因である。
横の関係・・・いかにして現場のスピードを上げるか
マネジメントの本質は「相矛盾することを統合すること」にある。
このことは定理であるが、現実、常にバランスをとることは難しい。
戦略とは「選ぶことであり、捨てることである(二者択一)」。この考え方のほうが、組織を動かすときにわかりやすい。
やること何かを決めたら、徹底的にやり抜き、ほかの事は犠牲にする(せざるを得ない)。
経営トップの判断は複雑であるが、現場に近づくにつれて、シンプルにする。
部下は単純なこと、わかりやすいことのほうに強く反応する。
相反することをそのまま投げて、「バランスをとりながら考えてやりなさい」と言ったら動きが止まる。
「ブレーキをかけながら、アクセルを踏む」様なこと。
現場の生産性を高めるためには、やるべきことを単純化してあげることである。
組織のご都合主義で現場にバラバラの指示が来ることが多いが、上層部の段階で組織間連携をとり、
優先順位を決めておかなければならない。