UPDATE:2009/09/14
目標管理と人事評価制度は連動して活用するが、目的も運用も別である。
目標管理
目標管理は、1956年経営学者ピーター・F・ドラッガーが「現代の経営」の中で
初めて日本に紹介したといわれるマネジメント手法である。
主たる目的は、目標達成と業務遂行能力の向上の2つである。
ただしその進め方が、「目標の管理」というように誤解され、上司が部下の売上目標を細分化して、
個人のノルマとして割り付け、その達成を管理することと多くの企業では認識されている。
正しくは、「Management by Objectives and Self-Control 目標と自己統制によるマネジメント」の意味で、
命令や強制ではなく、自主性や自己統制に基づいて目標を達成するという仕組みである。
部下に目標を押し付けるのではなく、組織の目標を納得できるように個人に割り当て、
主体的に目標達成のための計画を立て、進捗管理し、上位目標である組織目標達成のために
創意工夫するものである。
(1)主体的な計画立案(Plan)
↓
(2)上司による達成のための支援(Do)
↓
(3)結果の振り返り分析(Check)
↓
(4)結果による学習と行動修正(Action)
というプロセスをたどることが重要である。
しかしながら実際には
①目標の押し付け、②個人の計画立案がない、③進捗確認・指導のための定期的面談がない、
④振り返り・学習のための個人面談がない、というケースが多い。
人事評価制度
人事評価制度の主たる目的は、
貢献度に対する公正な処遇による従業員満足の醸成と中長期的能力開発による労働意欲の向上の2つである。
(1)能力基準と基本給水準を決定する等級資格制度
(2)何をどのように評価するかを決定する評価制度
(3)評価の結果の処遇の詳細を決定する報酬制度が3本柱である。
人事評価の仕組みがない会社はさすがに少ないが、基本原則に沿って運用できているこここ会社はきわめて少ない。
よくあるケースでは、①等級資格基準があいまい、②役職定義があいまい、③昇進・昇格ルールがあいまい、
④定性的目標、能力目標の評価があいまい、⑤貢献度に見合う報酬の格差がつかない、基準が属人的、
⑥本人への評価のフィードバックがない、などがある。
人事評価制度における基準・体系があいまいな会社では、キャリアプランも教育体系も現場の部下指導の基準も
ないことになる。
両制度の目的、運用方法の基本を正しく理解した上で、より日常のマネジメントに近い目標管理制度と連動し、
人事評価のためのきめ細かい評価の裏付け事実を記録していくことを実践して欲しい。