UPDATE:2009/12/01
「人材育成がなぜ進まないか」
経営者に人材育成の悩みを相談されることが多いのだが、人材育成について満足した成果を収めている企業は
非常に少ない。
人材育成の支援企業としては、人材育成=外部研修と直接結びつけるのではなく、次の4つの問題点を考えてほしい。
①人材育成の目標がない
目標とは育成課題のことである。
職種別、階層別に「求める人物像」はどういう人物か、そのための課題は何かが具体化されていない。
すると、人材を育てることが、外部研修講師に丸投げになってしまうことが多い。
我々も、マネジメント強化の研修、リーダー育成の研修、営業強化の研修などと依頼を受けるが、
抽象的で、具体的にどう育てるか、人事部も営業部も何も具体的な要望がないケースがほとんどである。
また、本人のキャリアプラン(将来どうなりたいか)も握られていないことも多く、到達目標も見えないのである。
②人材育成の基準がない
育成課題があったとしても、その達成基準があいまいなことが多い。
部下育成を管理職のミッションにしたとしてもどの能力をどのレベルまで高めることが育成したことになるのか、
共通のモノサシがない。
わが社が人事評価制度を作る時には、人事評価の基準を職種別、階層別にコアスキル、専門スキルに分けて設定し、
職能資格基準や役職定義などを作り、具体的にどういう行動が能力を発揮する行動かを明確にする。
その基準に沿って、人事評価と目標管理を連動させて運用し、上司に昇格・昇進のための能力を満たしていく
部下指導をしてもらう。
③人材育成が評価されない
管理職の役割に部下育成が含まれている企業は多い。しかし、管理職の評価に人材育成の目標が具体的に
設定されている企業は稀である。
やってもやらなくても、評価が変わらないのであれば、すぐに成果に結びつかない時間のかかる教育的指導を
するよりは、成果直結型で仕事をさせたほうが業績に結びつくと考えるだろう。
育成とは「できないことをできるようにしていくこと」である。
できることだけに集中すれば効率的ではあるが、効率が落ちても、新しいことに挑戦させなければ、有効な方法は
導きだされない。
④育成スキルがない
人材育成の質をどう計るか?わが社では管理職者に対するマネジメント研修を通して、「教える力」を指導している。
内容は、目標(課題)設定力、評価力、面談力、動機付け力、コーチング、トレーニング、OJT、ロープレ、自己啓発
など、具体的な能力手法を提供している。
部下育成をミッションにしながら、その能力手法を提供していなければ、やはり育成は実現しないだろう。
個々バラバラ、属人的な方法で教えていることになる。
育成のレベルや方法を話し合いの中から共有し、学習していく「場」の形成を意識的に作らなければ、その能力手法は
定着、磨かれて行かない。
以上のように、目標がない、基準がない、評価もあいまい、育成スキルも与えられていなければ、人材育成が
進まないのは当たり前である。
4つの問題を解決することが人材育成に取り掛かる前提条件になるのではないだろうか。