UPDATE:2014/07/25
経営幹部研修や管理職研修で、「リーダーにもっとも行ってほしいのは、未来を見据えて変革の先頭に立つことです」と言っています。
しかし、なかなか変革の先頭に立って、「過去を否定し、新しいことを行う」ことができないようです。
なぜできないか?
理由は、「自分が忙しい」⇒「権限委譲ができない」⇒「部下が育たない」という3つが多いようです。
その理由は本当でしょうか?
先ず、「自分が忙しい」というのは、優先順位が定まっていないからと言えます。
上司からの評価を聞くと、「本当にやって欲しいことを脇に置き、どうでも良いルーチンワークに忙殺されている」とよく聞きます。
80:20の法則にもありますように、仕事の重要度の高い2割で、その人の8割の評価は決まっているのです。
では優先順位とはなんでしょうか。組織人にとっては「上司からの期待」で決まっています。
ほとんどが部下の思い込みで決まっているようですが、上司の期待(優先順位)をいつもしっかり確認し、
重要度の高い仕事を自らやり抜き、それ以外の仕事を部下に任せるようにしていきたいものです。
次に「権限移譲」。ほとんどの経営幹部、管理職が権限委譲を難しいとして課題にあげます。
しかし、よくよく聞いてみると、本当に「権限委譲したいのか?」という疑問がわいてきます。
実は裏側の心理で、次のような強力な固定観念が住み着いている場合があります。
「頼られる上司にはなりたいが、すぐ人に頼るようにみられる人物にはなりたくない」
「部下も忙しくしているのに、自分の仕事を最優先に押し付ける利己的な上司に見られたくない」
「自分自身もまだまだ仕事をスマートにこなせるプレイヤーであり続けたい」(昔自分がそうであった優秀なプレイヤー、職人志向)
上記のような潜在意識はありませんでしょうか?
そもそも難しい、という言葉で、難しい理由を最初からつけてしまっているようにも思えます。
難しいという言葉を正当化するために、現状維持で仕方がないとしているようにも思えます。
目的と手段が逆です。仕事の難しさは、分解し、単純化すれば、必ず誰でもできる仕事になります(標準化)。
スキルに加えて、判断基準を教えていき、判断力がついてきたら、徐々に仕事を任せていけます。
自分の仕事をブラックボックス化して、大変だ、大変だ、と自分しかできないように見せ、存在感と自分の立場を守っているのではないでしょうか。
最後に「部下が育たない」という理由。「そもそも育てようとしていないのでは?」とも思えます。
育てるとは、「できないことができるようにすること」。
まさに自分の仕事を部分的に与えていき、上司の仕事ができるようになっていくことが身近な成長となりますが、
同じ仕事しか与えず、成長を止めて、「NO2はまだまだだ」などと言っているのではないでしょうか。
部下が育たなければ、自分の存在感と立場は安泰ですから。
人が育たないと嘆くカリスマ経営者もこのパターンに陥っています。
2代目や幹部をいつまでも頼りないと言い続け、社員を子ども扱いして、権限を与えない。
そうすることによって、自分に依存させ、君臨して満足しているケースが実に多いのです。
以上の3つの原因を解消するためにはどうしたらよいでしょうか。
最初にすべきことは、①心の底にある固定観念を素直な気持ちで明らかにすることです。
そして、②自分がどうなりたいか、より高度な自己イメージを形成します。
そうなるために、③長期・上位の視点から仕事を整理して、新たに取り組まなければならないこと、自分しかできないこと、部下に任せることの3つに分類し、部下と共有していきます。
「保身」、そもそもそんな余裕があること自体がリーダーとして失格です。
変化の激しい環境の中では、リーダーが先頭に立って、新しい仕事に挑戦していかなければなりません。
内向きな権力を気にしている余裕などありません。
変化の荒波の中、組織の成果を最大化するためには、権限移譲そして部下を育てることが不可欠で、
常に取り組んでいなければならないということを胸に刻み込むべきです。