UPDATE:2016/10/03
前回に引き続きイノベーションについて、今回はイノベーションの起こし方です。ドラッカー氏は「イノベーションのためになすべきこと」として以下の7つを上げています。
1)イノベーションの7つの機会を徹底的に分析すること
2)理論的な分析とともに、知覚的な認識も必要である
3)単純かつ具体的なものに的を絞る
4)小さくスタートするが、最初からトップを狙わなければならない
5)利口であろうとしてはならない
6)多角化、散漫になってはいけない
7)組織のフォーマルなコンセンサスにこだわってはいけない
そして、上記にもあるイノベーションを見つけ出すための有名な「7つの機会」を提唱しているのです。
1)予期せぬ成功、失敗を探す(突発性か必然性か)
2)あるべきものと現実のギャップ、(不調和)を探す(業界常識や業績予想など)
3)解決策が明らかになっていないニーズ(必要性・不満)を探す(業務プロセスなど)
4)産業や市場の構造変化に着目し、機会を探す(業界構造の変化・境界線)
5)高齢化、少子化などの人口構造や社会システムの変化に着目し、機会を探す
6)社会や世間の常識や価値観の変化、認識の変化を探す(ライフスタイルなど)
7)発明や発見、新しい技術や知識、ノウハウの出現、結合や組み合わせを探す
イノベーションのきっかけを見つけるには、上記の7つの機会を日常から意識することが出発点となります。
1978年にノーベル経済学賞を受賞したハーバードサイモン氏は、過去の歴史上の大きな転換点(産業革命)の研究から、イノベーションに関する4つの教訓を発表しています。
① 技術がもたらす結果は予測不能である
② 革新のポイントは「連鎖反応」にある
③ イノベーションを生み出すには「夢中になって試行錯誤すること」が大事である
④ 社会に革新的なインパクトを与えるのは、汎用的な技術である
今でも通用する示唆に富んだ内容です。この論文からは、イノベーションのきっかけとなる事業環境の変化はコントロールできないこと。そして過去のイノベーション事例を参考にしても、同じ環境における事業機会は2度とやってこないことを教えてくれます。
イノベーションの起こし方として、シュンペーターの言う新結合や連鎖反応という言葉が良く使われますが、イノベーションのジレンマにもあるように、内部の知恵からだけでは、新しい組み合わせ、価値次元の転換、非常識の受け入れはなかなか難しいものです。自前主義からの脱却、課題解決のスピードを上げるため、大企業では「オープン・イノベーション」という考え方が多く取り入れられています。
オープン・イノベーションとは、
「外部の知財を社内の経営資源と戦略的に組み合わせること」
「社内の活用されていない経営資源を社外で活用することでイノベーションを創出すること」を言います。フィリップスやアップル、グーグルなど多くの世界的企業も取り組んでいる手法です。知識労働者や技術者の増加と分散、優れたベンチャー企業の出現、開発スピードの短縮化で、今後の大きな流れとなるでしょう。私もこの分野に注目し、様々な角度から研究しております。