UPDATE:2016/04/29
会社のポリシーとしてよく議論になるのが、CSとESのどちらが大事かというテーマです。経営に関わる全ての活動は、上位概念とその方法、目的と手段に分かれますが、「経営における優先事項」は、
ミッション(会社の存在意義)⇒バリュー(大切にすべき考え方)⇒ビジョン(会社のあるべき姿)⇒経営方針⇒事業戦略⇒組織設計⇒仕事の体系化⇒人材能力開発、
という順番になります。
その流れから考えると、ES(従業員)⇒顧客価値の追求⇒CS(顧客満足)⇒売上⇒適正利益となるのではないでしょうか。
ドラッカーは「利益の役割」について「利益は結果であって目的ではない」と断言しています。なぜなら、利益中心になると、次のような弊害が生まれるからです。
① 顧客志向にならず、内向き志向になる。
② 短期的思考になり、長期的視点に立てない
③ 社員の育成や投資に資源を振り向けられない
その意味で「強い企業をつくる手順」は、「顧客の創造」を企業活動の目的に置きながら、
人材への利益投資⇒ES・人材育成⇒組織強化⇒事業戦略の実現⇒優位性(儲かる仕組み)の強化⇒CS⇒売上⇒ビジョン実現 という順位になります。人材への利益投資とは、優秀な人材の採用、教育、リテンション(囲い込み)の事です。人材への投資から始めることが、強い会社作り、会社の持続的成長を実現できる鍵になります。優秀な人材をなかなか採用できないこの時代には、既存社員の教育と魅力的な会社作りが重要となります。
急がば回れと言いますが、こういう優先順位を幹部の皆様が共通認識として、強く意識していることが重要です。
【コンサルタントプロフィール】
和田一男 (株式会社ブレインパートナー 代表取締役 組織変革・営業変革コンサルタント) 北海道小樽市出身。(株)ヒューマン・キャピタル・マネジメント取締役。大学卒業後、1985年(株)リクルート入社。2000年独立し、(株)ブレインパートナー設立、代表取締役就任。経営力強化、実行力強化支援、営業力強化コンサルティング、実行機能としての組織構築、組織変革コンサルティング、人材育成、人事評価制度構築、目標管理制度運用支援を行っている。著書「30歳からの営業力の鍛え方」(かんき出版,2006年)、「ドラッカー経営戦略」(明日香出版社,2012年) |