Columnコラム

新規事業を成功に導く3つのステージ

UPDATE:2024/05/30

VUCA時代と言われて久しいですが、先行きが見えない中、多くの企業が新市場に向けた新規事業創出に取り組んでいます。
弊社ブレインパートナーも新規事業創出研修や新規事業支援コンサルティングを提供しています。
企業が新規事業を産み出す時に、新規事業を一連の流れとしてとらえている推進者が多いように思えますが、
次の3つのステージは、まったく求められるGOALや基準・条件が異なります。
新規事業がスケーリングしていくまでのステップを3段階に分けて説明させていただきます。

 

第1ステップ「0⇒1ステージ」(アイディエーション)
「事業シーズ」を発見し、事業性を見極めるステージです。
「ドラッカーの7つの質問」に代表される変化や不平不満、あるべき姿とのギャップを事業機会として発見します。
事業推進者の周囲から共感される志、社会性、ビジョン、使命感が重要となり、中核となる顧客の声が裏付けとなると説得力を増します。
ほとんどの事業アイディアは日の目を見ません。
経営としては、第2ステップへ進めるべきかどうか判断が難しいポイントとなるので、事業化する場合の評価基準を明確にしておくと良いでしょう。
市場の魅力度と事業の適社度が事業化判断の鍵となります。

 

第2ステップ「1⇒10ステージ」(インキュベーション)
アイディアを事業化するステージです。
テストマーケティングをしながら、仮説と検証を繰り返し、勝ち(価値)パターンを探し求めます。
難しいのは、マネタイズを確立する「ビジネスモデル(WHO×WHAT×HOW)」を設計することです。
第2ステップでは中核となる顧客だけではなく、競合を意識したポジショニング(市場性)が重要になります。

 

第3ステップ「10⇒100ステージ」(スケーリング)
部分的成功から組織的に取り組み、爆発的な急成長を狙うステージです。
第2ステージの勝ち(価値)パターンをパッケージ(形式知)化させ、組織を超えて共有化させていかねばなりません。
第2ステップで求められる推進ノウハウとは全く違う能力が求められます。事業として横展開していく。
周辺領域へ拡大するために関係者を巻き込んでいく。顧客や関係会社と連携して新たな市場として存在感を出していく。
急拡大する事業には相互依存型のプラットフォームが形成されます。
そして、投資とリスクを背負い、スピード感もって進んでいくことが必要となります。

 

以上、3つのステージでは、求められる能力と成果が異なります。
そして、第3ステージの結果(3~5年後)その企業の総売り上げの10%が期待できる事業規模(存在感)が投資の条件になることが多いです。
さもなくば、その存在感から優先順位が下がり、途中で投資を止められる経営判断となるでしょう。
そう考えると3つのステージはバラバラにあるのではなく、第3ステージのゴールを見据えつつ、第1ステージの「事業シーズ」を探索、第2ステージの「ビジネスモデル」を設計する必要があるということです。
各ステージの条件をクリアすることが前提となりますが、初期段階から大きなビジョンを描き、逆算で進化の仕組みを実装する「設計思想」が求められます。

今回取り上げた新規事業創出のケースは社内起業家を想定したケースです。大企業をスピンアウトし、自分の夢(事業)を実現するために独立起業家となる選択は、経営資源が限られるため、上記の設計思想のスケーリングにはこだわらない場合が多いのではないでしょうか。

 

 

【コンサルタントプロフィール】

wada 和田一男
(株式会社ブレインパートナー 代表取締役 組織変革・営業変革コンサルタント)
北海道小樽市出身。(株)ヒューマン・キャピタル・マネジメント取締役。大学卒業後、1985年(株)リクルート入社。2000年独立し、(株)ブレインパートナー設立、代表取締役就任。経営力強化、実行力強化支援、営業力強化コンサルティング、実行機能としての組織構築、組織変革コンサルティング、人材育成、人事評価制度構築、目標管理制度運用支援を行っている。著書「30歳からの営業力の鍛え方」(かんき出版,2006年)、「ドラッカー経営戦略」(明日香出版社,2012年)

 

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